WECS

株式会社ウェックス静岡県熱海市の総合防災会社

お問い合わせはこちら

台風に伴う火災報知器の誤作動対処

防災コラム

ウェックスの渡辺です。夏が過ぎて秋が深まっていく頃、毎年悩まされる台風が多い時期になりました。天候は人間が変える事ができないものですから、去年の台風19号のような猛烈な台風が来ない事を祈るばかりです。

雨戸を閉める、窓ガラスにフィルムを貼る、ベランダ排水溝の掃除をしておくなど身近な対策は皆さん心がけているかと思いますが、マンションなどの共同住宅居住者や商業ビルオーナーを悩ませるのが火災報知器の誤作動です。

個人住宅とは違ってこれらの建物には多くの箇所に感知器が設置されていて、作動した場合は非常ベル・サイレンが鳴り響きます。当然ではありますがかなりの音量ですから、誤報の場合は迷惑極まりないと思います。

今回は台風時によくある誤作動の原因と、現場にいる皆さんが出来る対処方法をお伝えできればと思います。

火災報知器 誤作動の原因と対処

気圧の変動による誤作動

台風のような強い低気圧が近づいてくると、熱を感知する火災報知器が誤作動する場合があります。この機器は感知器内の空気の膨張を感知してスイッチが入る仕組みになっており、本来は火災によって室温が上昇する事で感知器内の空気が膨張するのを感知するところですが、台風が接近して周囲の気圧が低くなる事で、自然と感知器内の空気が膨張してスイッチが入る事があります。原理としては山に登るとスナック菓子などの袋がパンパンに膨らむのと同じですね。

誤作動した感知器を反時計回りに緩めて取り外す

熱感知器でも種類が様々にあり空気膨張を利用していない仕組みの機器もあります。見分けるポイントは感知器の表面がのっぺりとして突起している部分が無い事です。どのメーカーでもこの形状の場合は空気膨張を利用しています。

誤作動した感知器は赤色の作動ランプが点灯しています。この状態の感知器を取り外さなければ設備の復旧が出来ない為、感知器を反時計回りに緩めて取り外して頂き、その後受信機(操作盤)で復旧をすれば通常状態に戻せます。

漏水による誤作動

技術革新が進んだこの現代においても「水・湿気」は電子機器の故障原因のトップ要因ではないでしょうか。火災報知器においても防水型はありますが、全ての機器が防水化されてはいません。台風の強烈な風雨で浸水被害に遭う建物は多く、一度水に浸かった機器は以後安定稼働しないので取り外す必要があります。

天井面からの漏水などで感知器に水が入るのはよくある例ですが、強い風雨の場合は消火栓BOXや壁面に付いている発信機(手動の火災報知器)BOXに水が入る場合もあります。

可能な限り水を拭き取り、応急的な止水対応をする

漏水して感知器に水が入った場合は前述の通り赤色のランプが点灯するので現場で見れば分かります。その場合は同様に感知器を取り外して頂けば復旧できますが、消火栓BOXや発信機BOXに水が入った場合は原因箇所をすぐに見つけるのは困難です。防災屋さんに連絡してすぐに来てくれそうな状況でしたら、復旧対応はお任せしてしまった方が無難です。

逆に到着まで時間がかかるようでしたら、誤作動した区域の消火栓や発信機付近を確認し、水が流入している場合はある程度拭き取れさえすれば復旧できます。そもそも外面が破損などしていなければ多量な水が入るような構造ではありませんが、強い風雨に晒された場合は例外です。台風が過ぎ去った後には必ず防水対策を施して二の舞にならないようにする必要があります。

誤作動時、まずは担当業者に連絡する

あくまで契約に含んでいなければ止むをえませんが、消防設備点検をできても設備が誤作動した際にフォローできないという業者は、自分が知っている限りでは存在しません。そういった異常事態に対処する事に価値がある業種だと考えています。

とはいえ昨年の台風19号の際には静岡県東部でもあちこちで道路が通行止めになり、我々にも設備復旧要請の連絡は数多くありましたが、全ての現場に向かう事は困難な状況でした。台風災害ではそのような状況が今後もあり得るのだと思います。

上記のように完全な復旧は困難であっても応急的な処置はどなたでもできます。天候には抗えないこの時期ですから今一度館内の設備状況を知っておき、担当している業者さんとコミュニケーションを取っておくことを推奨します。

新着記事