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株式会社ウェックス静岡県熱海市の総合防災会社

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コロナ禍でも多い民泊・貸別荘の新規開業相談

防災コラム

忘れてはいけない消防設備の話

こんにちは、ウェックスの渡辺です。今年も年末の忙しい時期になりましたが、新型コロナウイルスの影響で例年とは異なる師走となっているのではないでしょうか。当社でも協力会社と毎年行っていた忘年会を見送りにしたり、日常の感染対策には気が抜けない日々を過ごしています。

そんな中、コロナ禍以前と比較して伊豆東部地区における民泊・貸別荘の事業は正直なところあまり問い合わせ数に影響がありませんでした。オリンピックのインバウンド需要をターゲットにした市街地物件は確かに減りましたが、伊豆半島の自然溢れる郊外の物件は今でもお問い合わせがあります。多くの人との接触機会が無い点では比較的感染リスクも低く、テレワークが推奨された事による長期間利用の需要も後押ししているのではないでしょうか。

民泊・貸別荘の開業には「消防法令適合通知書」が必要

新たに民泊や貸別荘を開業する際には所轄の保健所に申請して営業許可を取得しなければなりません。その際に申請する建物が消防法上問題が無い事を証明するのが「消防法令適合通知書」です。これを取得する為には各種申請書を提出するだけでなく、必要な消防設備を設置して立入検査で合格する必要があります。

<※追記> R2年12月15日から既存建物を購入・賃貸する上で施設の構造設備が譲り受けたものから変更がない場合においては消防法令適合通知書は省略可能とされました。

地域によって申請書の様式や種類が異なる場合があるので、まずは所轄の消防へ電話問い合わせや、実際に窓口に行って確認する事が確実です。しかし経験上以下の書類はほぼ例外なく必要になります。

  • 防火対象物使用開始届(添付書類:建物平面図、案内図)
  • 消防法令適合通知書交付申請書(添付書類:建物登記簿謄本のコピー、保健所申請書のコピー)

※収容人数が30人以上となる場合は防火管理者を選任する必要がありますが、民泊・貸別荘においてはよほど建物が大きくなければまず該当しません。

上記の申請書は全てご自身で申請可能ですが、消防設備の設置は種類によっては消防設備士免状が必要となります。

意外と費用がかかるのが消防設備

消防設備は建物の面積、構造、階数、収容人数など多くの要因で設置基準が区分されていますが、民泊・貸別荘の用途で圧倒的に多い設備は以下の3つです。

①特定小規模施設用自動火災報知設備

一般的な火災報知設備と違って配線工事が不要で、消防設備士でなくても設置・工事申請が可能です。実際には申請書の作成や工事が面倒だからと一括で依頼を受けるケースも多いですが、ご自身でチャレンジされるケースもよく見受けられます。居室や2㎡以上の物入れごとに1台設置が必要な為、物件の間取りによって金額が大きく異なります。

②誘導灯及び誘導標識

電気工事士による配線工事が必要で、少なくとも各階の最終出入口に1台ずつ必要となります。熱海市消防本部では最終避難階以外は誘導標識でも良しとする指導方針ですが、誘導灯は所轄消防の指導が最も異なる設備ではないかと思います。最後の消防検査でまさかの指摘を受けない為にも、建物平面図、また現場写真を持って所轄消防に相談に行く事を強く推奨します。また配線工事は電気工事士でも申請書類提出は消防設備士甲種4類が必要となるので、この設備は消防設備会社さんにお任せした方が無難かもしれません。

③消火器具

150㎡以上の延べ面積で設置が義務付けられます。当社が今まで担当した物件でも義務設置となるケースは比較的少ないですが、無窓階に判定された場合は50㎡以上で設置が必要となります。消火器はホームセンター等でも購入できるABC10型が安価で消火能力も高くてお勧めです。

消防設備(①+②+③)の費用相場

今まで経験した価格の相場ですが、平屋建てであれば10~25万円、2階建てであれば15~35万円ほど掛かっています。あくまで目安の話です。建物の階数、居室やウォークインクローゼットの数、点検口の数(誘導灯用の配線工事の難易度)で金額は変動します。

地域によっても差があると思いますので消防設備業者に問い合わせして確認が必要ですが、それも一定の条件に該当しなければの話です。

契約前に要確認!消防法規制が厳しくなる建物条件

民泊・貸別荘の物件はたくさんの選択肢の中で選定されたいと思います。しかし以下の条件にあてはまる物件は工期・費用の面でもイレギュラーになる為、慎重にご選定ください。

・延面積300㎡以上の物件

特定小規模用自動火災報知設備を使用する事ができず、配線工事が必要な標準の自動火災報知設備が義務付けられます。おおよそ前述した費用の3~4倍は掛かる場合が多く、全く費用感が変わります。また元々が宿泊施設の建物でない場合、200㎡以上だと建築用途変更が必要になるので開業までさらに時間と費用が掛かってきます。

・3階以上、もしくは地階がある建物

屋内階段が1つしかないケースが非常に多く、その場合は特定一階段等防火対象物(通称:特一)に該当します。特例が認められない限りは標準の自動火災報知設備が必要なだけでなく収容人数によっては避難器具の設置も必要になったり、地域によっては毎年の消防査察対象に上がる可能性もあるのでご注意ください。※屋外階段か2つ以上屋内階段があれば問題ありません。

・屋根裏の部屋や倉庫、斜面地を利用した地下倉庫がある場合も要注意

登記簿上で階判定されていないから、3階や地階扱いにはならないだろうとご自身で判断されるのはちょっと危険です。特に屋根裏は「後工事」で対応した場合も考えられますし、屋根裏倉庫へ通じる収納式はしごを消防検査時に指摘されて前述した「特一」に選定されたり、設備の追加設置が必要になったケースは実際にありました。※逆に屋根裏を完全に封鎖する対応で追加設置を間逃れた事もあります。

また山間部の別荘では建物基礎の部分だったり斜面地を利用して倉庫や居室を設けているのもよく見かけます。屋根裏の話と同様に設備追加が必要になる場合があるので登記簿謄本上の階判定が全て正しい訳ではないという認識が必要です。

スムーズな開業に繋げる為にも消防法の相談はお早めに

民泊や貸別荘を開業のご相談を頂く場合、すぐにでも始めたいというお客様が非常に多いです。ただし前述した必要書類が全て揃っていたとしても「消防法令適合通知書」の取得には問い合わせからおおよそ2~3週間はかかります。その後には保健所の検査が控えていますので余裕を持ったスケジュール調整をお勧めします。

また消防本部は市区町村単位でそれぞれが独立した存在ですので、消防法を基にして所轄地域によって指導内容が異なってきます。その為、他地域の事例を以てしてもそれが所轄消防で適用されるとも限りません。物件の選定である程度候補を絞れているのであれば早い段階で消防本部に相談に行くべきだと思います。

消防設備会社に相談するメリット

どこの地域であっても消防設備会社、いわゆる防災屋さんはいますしが、施工実績が豊富なところほど所轄消防の細かな指導内容を熟知しています。また該当地域で認められる特例(設備免除)の条件も理解しているのでホームページや口コミで実績を調べて、まずは問い合わせしてみる事をお勧めします。※特例認定は担当者にもよりますが消防本部から積極的には示してくれません。

空き家率の改善に繋げられれば

民泊・貸別荘は社会問題になっている空き家率の改善に貢献できると考えています。伊豆東部は特に空き家が多いですし、私が住んでいる熱海市の網代という地域は本当に空き家だらけになってきました。。。

様々な課題もあると思いますが、捉え方によってはリノベーションの素材が沢山眠っている地域と言えます。

コロナ禍とはいえ熱海市街地では再開発が進んでおり、物件も非常に流動的です。消防設備士として消防・防災面で有益な提案をしていく事で街の発展を支援していきたいです。

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